昭和の猫

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 その後、時代の変化と父の不熱心から、米穀店は閉店してしまった。  我が家の猫はネズミを捕る必要がなくなり、シロが最後のワイルドキャットになった。  月日が流れ、店舗の在った場所は、五階建てのマンションに変わった。  花畑も、紅葉の木も、スイカを冷やした手動ポンプの井戸も、面影すらない。当然、シロの墓も存在しない。  だが、僕は、屋根を駆け回り、柿の木を飛び回る白い猫を、忘れる事ができなかった。
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