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僕が子供の頃、今では愛玩用でしかない猫も、ネズミを捕る目的で飼われていた。もちろん、全部ではないが、昭和の猫は働いたのだ。
僕の家は米屋で、野山米穀店と言う名称だった。当時、米は専売許可制だったので、かなり手広く商売をしていた。大きな機械が稼働し、玄米を精米する音を、今でも覚えている。
さて、肝心の猫は、シロと言う名前だった。
シロは、屋根の上を駆け回り、柿の木を飛び回る。猫の身体能力は凄い物があり、目が眩みそうな高さの上でも平気で渡り歩く。
かと思うと、木から降りられなくなるのは何でだろう? まさか、可愛さアピールではないだろうに……。
シロは、生き物に関心があった。我が家の庭では、猫は人間に次ぐ食物連鎖の頂点なので、あらゆる生き物を狩った。
蟷螂をくわえ、見せにくる。
蜥蜴の尻尾に驚き、固まる。
中でも、特に土竜で遊ぶのが好きで、玩具にして楽しむ。良く言えば無邪気だが、悪くいえば冷酷ではある。
当然、ネズミも狩る。
シロは、自分の手柄を誉めて欲しいのか? 祖母や祖父に獲物を見せにきていた。
無口な祖父は反応しないが、祖母は大袈裟に誉めていた。
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