昭和の猫

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 祖母は、猫だけでなく、人を使うのも上手だった。  当時、米穀店を支えていたのは、祖父と祖母で、父は仕事に身が入らず、母とは離婚していた。  とは言え、子供だった僕には何の決定権もなく、シロと大差ない存在だった。  まぁ、ネズミを捕るだけシロの方が上かも知れない。  さて、シロの生態はと言うと、実際の所、行動範囲は不明だった。  猫と言うのは気ままな旅人を思わせ、自由を謳歌(おうか)しているように見える。この生物の前では、垣根や門扉は意味を成さない。
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