昭和の猫

4/9
前へ
/9ページ
次へ
 ある日、シロの帰りが遅い日があった。  シロのために土間の隅に用意してある猫皿には、ご飯に味噌汁を掛け、焼き魚の骨でデコレートされた猫まんまが寂しそうにしている。  今ではキャットフードが主流だろうが、当時は猫のご飯と言えばこれだった。  猫の健康を考えた専用食品なんて、食べさせた事がない。  夜の八時を回った頃、ニャーニャーと鳴き声が聞こえた。どうやら、シロがご帰還したようだ。  僕が勝手口を開けると、血だらけのシロが居た。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加