昭和の猫

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 当時は、人も猫も骨太だった。    さて、それから数日後、シロの姿を見なくなった。  僕は、プラッシーを片手に庭を見回る。因みに、プラッシーは米屋で販売していた飲料水で、ミカンの味がした。おそらく、プラスCからネーミングされたと推測する。    さて、ネーミングの評価はさておき、庭には、水仙やヒヤシンスが植えてあり、白や赤の彩りが綺麗だった。  シロは、お花の根元でノンビリしているのが好きで、だらしなく腹を見せて目を細めたりする。  だが、何処にもいない。  庭の隅に植えてある紅葉の木は、シロが爪研ぎをする場所だが、そこにも居ない。  屋根、柿の木も見回るが、やはり居ない。  僕は、捜索範囲を広げ、隣家の堺を探していた。
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