昭和の猫

8/9
前へ
/9ページ
次へ
 僕がシロを見つけたのは、隣家の畑だった。  シロは舌を出して、目を瞑っていた。  祖父母の話だと、シロは殺鼠剤(さつそざい)入りの餌を食べ、命を落とした。殺鼠剤は、当時は野ネズミ対策で使っていた物で、通称は猫要らず。  さて、シロの死は、今では考えられない事だが、「猫が悪い」で、結論が出た。  当時は当然の理屈だが、今なら訴訟沙汰だろう。  僕は、大人の理屈に納得出来なかったが、唇を噛み締める位しか抗議の手段がなかった。  僕と祖父は、シロを埋葬する。今ではペット用の葬儀所まで在る時代だが、当時は穴に埋め、目印に石を置く程度だった。  僕は、シロの墓の前で合掌すると、自然に涙が出てきた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加