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翌朝、目を覚ますと体の上に毛布がかけられていることに気づいた。 意外と良い人なんだなぁ、彼……。 お礼を言おうと立ち上がってみると部屋は昨夜以上に静かに感じられた。 「出かけたのかな?」 うろうろと部屋の中を歩いてみると、リビングのテーブルの上に一枚のメモを見つけた。 『でかける。あんまりあちこち見るな。戸締り忘れるな』 殴り書きのメモを見て 「やっぱり感じ悪い……」 と桜はため息をついた。 「んっ?今、何時?やばい!」 慌ててスマホを取り出すと、桜は電話を鳴らした。 「ごめん、杏介、ちょっと遅れる!事情は後ほど……」 「桜?大丈夫?」 「ごめん!本当にごめん!」 声の主の質問を無視したまま電話を切った後、急いで服を着替えてメイクをし直した桜は、慌てて家を出た。
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