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「北斗もダメだったか」
「今回ばかりは、杏介の知り合いということもあって安心してたんだけどな」
元々、桜と北斗が出会ったのは、杏介のお客さんが主催した誕生パーティーの席だった。
杏介に誘われ、桜が同伴することになったその会で、声をかけてきたのが北斗だった。
当初は、杏介の知人ということであいさつ程度で済ませるはずが、ノリの良い北斗の会話にすっかり桜は引き込まれてしまったのだ。
「まぁ、知り合いっていっても、桜と付き合うまでは俺もそんなに話したことなかったから。っていうか桜の場合、少なからず桜がダメにしてるところもあると思うよ」
「えぇ?」
桜が思い当たる節がないと目をぱちくりさせると、杏介は鏡越しに桜を見つめ
「優しすぎるんだよ。桜は。なんでもはいはい、って許してると男はすぐ調子に乗るの。たまには怒ることも長続きの秘訣だよ」
と答えた。
「杏介はくるみちゃんと付き合って長いもんね。相変わらず順調?」
「んっ?まーくるみに振り回されてるところあるけど、それなりにうまくやってるよ」
「いいなぁ。私も杏介みたいな人と付き合えば幸せになれたのかな」
「じゃあ、付き合ってみる?」
サラッと言葉を返した杏介とは対象的に、桜は言葉を詰まらせた。
「冗談だよ。桜はすぐ本気にするんだから。だから変な奴に付け込まれるんだよ」
今まであまり意識したことはなかったが、杏介は世の中的にはイケメンの部類であることに桜は気づいた。
「杏介も3Bなのよね……」
「んっ?」
「いや……杏介って意外とモテるんじゃないかと思って」
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