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「あんたどうするのよ。30歳独身、貯金なしで。彼氏に家まで乗っ取られて」
「現実を突きつけないで……」
北斗が、桜の家に転がり込む形で同棲して7年。家賃こそ折半だったものの、生活費のほとんどは桜の収入から賄われてきた。
にもかかわらず、彼は家に女を連れ込み、鉢合わせた桜と修羅場を迎えることになった。そして、理不尽にも桜が追い出される形で、二人の関係は終わることになった。
「グダグダ言ってたってどうしようもないけどね。いつまでもホテル住まいもしてられないでしょ。ちゃんとこれからのこと考えなよ」
「分かってるって」
そう言うと桜は、グラスの酒をいっきに飲み欲し、ため息をついた。
「もう……あっ、いけない。私、もう帰らないと!今日、智の家行く約束してるのよ」
桜を一瞥した後、時計を確認して、慌ただしく荷物を抱えた瑛子に
「ちょっと~おいていかないでよ~」
と言ったところで、彼女を引き留めることができないのは分かっていた。
「冬馬さん、ごめんなさい。この子置いていくけど、邪魔になったら追い出して良いから」
そう言って一万円札をカウンターに置くと
「あんまり飲みすぎないでよ!お釣りは餞別」
と言って、瑛子はそそくさと店を出て行った。
「餞別って何よ……。冬馬さん、もう一杯!!!」
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