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「桜ちゃんの彼氏ってバンドマンだったよね。だから3Bなのか」
「そうです。まぁ、もう元カレですけどね。あー私も瑛子みたいに良い人つかまえたいな」
「瑛子ちゃん結婚式の準備、順調みたいだね」
「はい。瑛子は本当見る目あるんですよね。彼氏の智さんも、一流企業の社員でイケメンだけど瑛子一筋で。私みたいに毎回売れないバンドマンとか売れない芸人とか売れないホストとか……選んじゃう女とは違うんですよ」
「桜ちゃんはなかなか激しい恋愛してるよね。そもそもそう言う人に出会うのが……」
苦笑いを浮かべる冬馬に言葉を返そうとすると、”フンッ”と鼻を鳴らす音が聴こえ、桜は思わずそちらを見た。
カウンターの端を一瞥すると、そこにいた若い男がふっと顔を反らしたのを感じられた。
「あなた、今、笑いました?」
「あっ、いえ」
面倒くさそうに言う男に桜は思わず強い言葉を返した。
「嘘。笑いましたよね?」
冬馬が慌てて制止しようとした時にはもう、桜はその男の隣まで歩みを進めていた。
「何がおかしいんですか?」
「いえ、別に」
「じゃあ何で笑ったんですか」
「しつこいですね。お姉さん、執念深いタイプですか」
「はぁ?」
桜の語気が強くなると、彼は桜の顔をじっと見つめた。
予想以上に綺麗な顔が視界に広がり、さくらは一瞬ひるんだものの
「あなた失礼な人ですね!」
と改めて言葉を返した。
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