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「えっ……ここって」
「皆にはホテルに泊まってるって言ってるけど、そんなお金ないの。彼にお金使い続けてきたから」
そう言って、どう見ても漫画喫茶という佇まいの店に入ろうとする桜を夏輝は腕を掴んで止めた。
「何よ」
「馬鹿じゃねーの?」
「何?まだ喧嘩売る気?」
「俺が追っかけてきたことにビビッて逃げるだけの自己防衛能力があるなら、女一人でこんなとこで生活すんなよ」
「仕方ないでしょ。お金ないんだから」
「……3Bって、あんたみたいな人のこと言うんじゃねーの」
「えっ?」
「バカで、貧乏」
「バカって!貧乏は事実だけど……バカはひどい!!んっ……あと一つは?」
「無様。絶対付き合っちゃいけない女だよな」
夏輝に掴まれていた手を思いっきり振りほどいて、桜は彼を強く見つめた。
「余計なお世話。人のこと無様って平気で言うあんたの方が無様だわ。送ってくれてありがとう。どうぞ、おかえりください」
じっとにらみつける桜から視線をそらした後、夏輝は
「荷物、どこ置いてんの?」
と聞いた。
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