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「ここに納まらない分は駅前のコインロッカーだけど……」 桜の怒りなどどうでもよいというような夏輝の態度に、桜は完全にペースを飲まれていた。 「ふーん……店の支払いはどうしてんの?」 「毎日払い直してる。この辺に、いくつか店あるから入れなかったことないし」 「へー……じゃあ問題ないな。行くぞ」 そう言って、桜の意思は関係ないというように夏輝は駅前まで、彼女を連れて行き強引にすべての荷物をロッカーから出すように命じた。 最初は拒んだ桜も、夏輝のしつこさに折れ荷物を一通り出すと、彼は桜を無理やりタクシーに押し込んだ後、隣に座った。 「すみません。ここまでお願いします」 夏輝がスマホで地図を見せると、運転手はすぐに場所を理解したようで車を走らせた。 「ちょっとどこ行くのよ?」 「うっせーな。黙ってろよ」 そう言った後、ため息をついた夏輝は、それっきり一言も言葉を発することがなかった。 タクシーが止まったのは、繁華街から少し外れた住宅地だった。 「えっ?ここ、どこ?」 「ありがとうございましたー」 桜を無視するように運転手と会話を交わした後、夏輝はツカツカと歩き出し、桜はそれに続くように走って後を追った。 大きなマンションの前で、慣れた手つきでオートロックを解除すると、ちらりと桜が後ろにいることだけを確認し、夏輝は高層階のエレベーターに乗った。 気まずい沈黙の後、 「絶対誰にも言うなよ」 と夏輝は発した。 「はっ?」 「ここ俺の家。誰にも言うな」 エレベーターを降りた後、一番奥の角部屋の鍵を開けた後、夏輝はその部屋に桜を招き入れた。
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