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今日も青い空が広がっていて、
制服を着た私たちはぼんやりとお昼ご飯を食べていた。
「へっくっしょい」
「お前、もう少し可愛らしくできねえのかよ……」
呆れたようにため息をつく大輝は、私のお弁当からウインナーを拐った。
それに習って、私も大輝のお弁当から卵焼きを奪い取る。
「あっ、お前!」
「私に可愛さなんて無理でしょ、求めるな」
ニヤニヤしながら卵焼きを食べてやると、大輝は恨みのこもった目で私を見つめる。
私のウインナーをとるから悪い!
中学からの腐れ縁で続いた、この友達関係はちょっとやそっとのことじゃ崩れない。
そう、豪語できるほどだと私は思っている。
「風邪ひいたのか?」
「んー、まあ昨日、髪乾かさずにゲームして寝落ちしたからね」
ばかじゃん、なんて言いたげに私の頭をチョップしてくる。
地味に痛い。
「あのねえ、」
「風邪ならキスして貰ってやろうか?」
にやっと笑う大輝。
「な、に馬鹿なこと言ってんの」
足の脛を爪先で小突いて、私はふん、とそっぽを向く。
頬の熱も、今まで言われたことのなかった冗談も、じわじわと私の心を蝕んでいく。
ああ、これ、だめだ。
これまでの友達関係にヒビが入る音が聞こえたような気がした。
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