第1章

8/33

729人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
何度繰り返しても海を見かけた人は居なくて 教室に戻ってきてもう一度見渡してみても海は居なくて 家に連絡を入れようとしたとき 勢いよく教室の扉を開かれたと思えばそこには担任の姿 「羽根田!空の方、ちょっとこい!!!」 いつもダルそうにしている人間の焦った姿を見ると余計にこちらも焦ってしまう 慌てて出ていくと先生の僕の腕を痛いくらいに引っ掴み、引きずるようにせかせかと廊下を歩いていく 「せ、せんせっ、痛いです」 「うるせぇ、海はもっと痛かったぞ」 「ッ、海が!居たんですか!どこに…」 「うるせぇつってんだろ!?今連れて行ってるのがわかんねぇのか」 「すみません、ありがとうございます…」 あぁ、そうか この人海信者なのかな 海は校内でも人気な生徒で、優等生タイプの人間 生徒にも教師にも海のことを悪く思う人は居ないと思う その中でもより海のことが大好きな人は、見ていてある種の宗教のようだと感じたから、僕は密かにその人達のことを海信者と呼んでいる
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

729人が本棚に入れています
本棚に追加