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きょろきょろする俺の頭上から、児童を叱りつける小学校の先生のような声が浴びせられる。
ような、というか、子どものころから始終こうだった。
褒められた記憶はなく、叱られたことは多すぎていちいち覚えていない。
「ドコ見てんのよ」
振り向けば、そこには窓から射し込む眩い光に、夏服のブラウスが眩しく輝いていた。
ここは教室。
俺は高校3年生。
だが、ここには目の前の女子ひとりしかいない。
なぜなら。
1学期の終業式が終わっても、高校生活最後となる俺の夏休みは、少しばかり始まるのが遅かった。
俺の通う高校は、前期と後期の2期制で、夏休み前の定期考査は6月末から7月初めまでの1回しかない。
つまり、他の連中と一緒に夏休みを迎えるチャンスも1回しかなかったのだ。
それなのに、俺は前期の中間考査で英語の赤点を取ってしまった。
終業式前の三者懇談では「境克彦 サカイカツヒコ 30点」と書かれた成績集計表を担任につきつけられ、隣に座ったオフクロは机の下で俺の足を思いっきり蹴っ飛ばしたものである。
2学期に入れば、再び三者懇談がある。正念場の三者懇談だ。俺は、どこを受験するか決めなければならないのである。そんなときに、赤点を残したままでは済まない。
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