【ペットを飼いたい】

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* 会社の帰り道、自宅のマンションの近くで、猫を見つけた。 交通事故にでも遭ったのかな? 道に倒れて、初めは死んでいるのかと思った、でも微かにお腹が動いてる、生きてるんだ! この道路は細いけれど抜け道にも使われているので、意外と交通量が多い。そんな車に轢かれてしまったのかも! どうしよう、生きてるなら助けてあげたい……! 私はマフラーに包んで、その真っ白な猫を抱き上げていた。 駅まで戻れば動物病院がある、幸いまだ診察時間だった。 「んー? 事故かなあ?」 先生が猫を診ながら言った。 「猫同士の喧嘩か、もしかしたら子供にいじめられたか、大人が邪魔だとなんかしたのかも?」 轢かれたと言うには怪我の程度は軽くて、切り傷が多いと教えてくれた。 こんな綺麗な猫を虐めるなんて!!! 「手当は終了。帰ってもいいけど、この子、君の飼い猫じゃないんでしょ?」 「あ、はい……」 「じゃあ預かるかあ」 「あの……もし、野良だったら、どうなるんですか?」 「うーん、一応引き取り先を探して……見つからなかったら……」 「……たら?」 聞いたけれど、教えてくれなかった。 「でも、こんなに綺麗な猫です! どこかで飼われていたのかも!」 「うーん、確かにメインクーンっぽいんだけど……多分、この子はミックスだよ。一応マイクロチップも探したけどなかったし、野良の可能性が高いかもね?」 長毛の真っ白な猫ちゃんが、野良猫!? なんて贅沢な世の中なんだ! 「一応、迷い猫の案内と、新しい飼い主を捜すお知らせを出しておくよ」 先生は優しく言ってくれた。 でも、その時には私の決心は固まっていた。 「私が引き取ります」 「え?」 「いえ……新しい飼い主が見つかるまでとかでいいです、私が面倒見ていいですか?」 「ああ──じゃあ、お願いしようかな?」 きっとこれも出会いだ。 私は子供頃から動物を飼いたいと思っていた。 就職の為に横浜に出てきて、ペット可のマンションだったけれど、忙しさにかまけて飼おうなんて思わなかった。 少しの間になるかもしれないけど、ううん、できれば引き取り手が現れないで死ぬまでお付き合いしたい! 私は両手いっぱいになるその子を抱いて、家に帰った。
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