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「ああ、この姿が気に入らない? こっちの方が楽なんだよね、いつまでも小型の猫の姿でいるのも疲れるからさ。まあこの姿が怖いなら──」
そう言って体を震わせると、その姿が変わった、今度は──人の姿に!!!
二十歳前後と思える男性になった。
目の前で変わったから判る、瞳の色が、昨日拾った白い猫と同じ、綺麗な緑色だった。
髪は白と言うよりは、プラチナブロンドに近いけれど、それは先程の豹を思わせた。
上げた右手に見えた傷は、昨夜メインクーンが怪我した場所と合っている。
「ありがとう、命の恩人だ。魔族に襲われてさ、命からがら逃げだしたところを、君のような可愛い女性に助けられた、ああ、僕はなんて幸運の持ち主なんだ!」
「……はあ……」
「お礼がしたい、さあ、僕と猫の国へ──」
「いやです」
「え?」
「私は猫を拾ったんです! 猫じゃないならお断りです!」
「え、いや、助けてくれたお礼に……」
「猫じゃないなら出て行って!」
「そんな。あ、じゃあ、猫に戻るね」
「ほんと?」
言うと、目の前で、サムエルとやらはまたメインクーンに戻る。
「きゃあ、これこれ!」
私は抱き上げて膝に乗せた。
「あの……どれも僕なんだけど?」
「あ、これでも喋れるんだ?」
「ああ、不用意に喋ってはいけない事は判ってる」
「そっかあ、うんうん、可愛いよお!」
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