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幻聴
お前、人見下してんのばれてるぜ
.....え?
カクルの横顔は相変わらず野球中継に釘付けだった。
「ん、どうした?」
いや......。
かぶりを振る。
「なんでもない。」
「また、例のやつか?」
「ああ。」
「大丈夫か?青いぞ顔。ほら」
溶けた氷でぽたぽたと滴る硝子コップを差し出しながら、カクルはそういった。
「どうも。」
「遅いな、マユナの奴。このままじゃお前んちの菓子食べつくしちゃうぜ」
彼はくちゃくちゃと音をたて、Calbeeの文字を逆さにしながら二袋目を食べ終えた。
「もうねぇよ。」
「は!?聞いてねぇよそれ!」
「おまえなあ、人ん家上がりこんどいてもうちょっと遠慮とかないの。」
「遠慮して何の得がある?それに俺は今お前さんのご依頼でここにいるんだぜ?腹もまだ減ってるし。対応できないなら、帰......」
「わ!かった、から、待て。......チャーハンでいいか?」
「ニンニク多めで。」
「りょーかい。」
こいつにひとつ感謝することがあるとすると、お陰ですっかり中華料理が上手くなったことくらいだ
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