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しかしその欠点も受け入れられるくらいに、俺はここから見える景色を気に入っていた。
800メートルほど先には、目線と同じ高さで10分に1回は必ず阪急電車が通過していくのが見える。
夜になると、手前に見える比較的新しい一軒家のカーテンの隙間からは優しい光が漏れ、路地のような細い小道を挟んだ向こう側には古びたアパートが静かに並んでいる。
そんな何気無い夜の風景をいつまでも眺めていると、このままずっと朝が来ないのではないかという気がしてくる。
それはあまりにも静かであった。
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