カクル

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「そういえば、お前って何者なんだっけ。」 「何者だと思う?」 彼はいつも質問を質問で返す。俺は初めこのことでいささか腹を立てていたが、もう慣れてしまった。 「幽霊。」 「なぜそう思う?」 「どうも他のやつには見えないらしいから。」 「もしそれだけが理由だとすると、不充分だ。」 「何でだよ。」 本当に、面倒臭い男だ。 「お前は昼間に星を見たことがあるか。」 「ないよ。」 「それと一緒だ。」 反応する代わりに俺は洗濯物を畳み始めることにした。
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