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 洗川清美は美容師学校を卒業すると、自宅から電車で三十分ほどかかるところにある美容室にアシスタントとして勤めることになった。    最初の仕事は、フロアの清掃とパーマの待ち時間やスタイリスト待ちのお客にコーヒーなどの飲み物を出す仕事である。清美は愛嬌のある顔立ちとコミュニケーション能力が他のアシスタントと比べて抜け出ていたため、常連のお客からも気に入られていた。細かいところも気づいたり、仕事をテキパキとこなせるため先輩スタイリストからも可愛がられていた。清美がスタイリストに昇格したらカットをしてもらおうかなとお客から言ってもらえることがあり、それが仕事のやり甲斐にもなっていた。    清美は他の者よりも早いペースでスタイリストに昇格した。  それから数ヶ月の間で指名数がコンスタントに伸び、清美の顧客は順調に増えていった。とは言え、その上にはトップスタイリストと呼ばれる先輩社員がいるので目指すところはまだ先にある。
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