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ひらひら、ひらひら。
桜の花びらがゆっくりと舞い散る。
ほんの最近満開になったと思ったら、もう散り始めてしまった。
彼女らの寿命は短い。短いからこそ、儚く美しい。
ひらひら舞い散る花びらを、年甲斐もなく必死に追いかけて、捕まえようとする。うまくキャッチできたら願いが叶う、とか何とかそんな謂れが皆さんにもなかっただろうか?
やっとのこと捕まえた花びらを押し花にして、今でも大事にとってある。
去年の桜の押し花。もうあれから一年も経つなんて・・学生時代を終えると一年があっという間に過ぎる。先輩からは、「これからもっと早くなるよ」と念を押される。
会社に通って、帰宅。麦酒を飲んで、一服。ルーティンの生活をしてると瞬く間に時が過ぎてしまう。子供時代は1年1年がとても長かったというのに。
そんなふうに考え出すと少し切なくなって、この時期は情緒不安定になりがちである。
帰り際、桜の木の下にふいに立ってみる。よく桜の下には死体が埋まっているとか、告白すると永遠に結ばれるとか、悪い話も良い話も、桜にまつわる逸話は数えきれないほど。
音楽だってそうだ。桜を謳った邦楽が毎年毎年、あたらしく街中に溢れ奏でられる。
こう思うと日本人はそろって桜が好きなんだなあとしみじみと感じる。桜の前に咲く梅が陰に隠れてしまって、少しかわいそうだけれど。
ちょうど私の住んでいる水戸も、今が満開。春の嵐に吹かれる前に、満開の桜を目に焼き付けておこう。
会社の昼休みに外へ駈け出した。私の足取りは軽い。
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