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 仕方がないから冷たいシャワーを浴びることにする。項垂れながらバスルームに向かう。服を脱いで、夏でも冷たいタイルにひと足つけるときの感じが好きだ。頭のてっぺんまでぴんと突き抜けるようなあの感じ。蛇口を捻って、シャワーを頭から浴びた。髪の毛を伝って首筋、肩、胸を伝って水滴は次々と流れていく。排水溝が砂漠でオアシスを見つけた旅人のようにごくりと喉を鳴らした。水は少しずつ冷たくなっていき、心地良い水温になった。ここでは窓から注ぐ日差しに煩わされることもない。顔に直接水をかけて、その奔流に身を任せていると、プールの前のシャワーを思い出した。男子は地獄のシャワーなんて言ってるけど、私は皆で並んで、振り注ぐシャワーを怖々待つ瞬間が結構気に入っている。  
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