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プールと言えば……。誘われたんだったな。終業式の後。曖昧にしたまま、別れちゃったけど。今日、奈緒ちゃん達は男子も何人か誘って近所のプールに行く。吾郎くんもいるらしいから気になったけど結局やめた。 「だって色白がタイプって言ってたし」  シャワーヘッドを掴んで、壁のタイルに水をかけた。日を浴びてきらきら光っている。奈緒ちゃんの真っ白い素肌を思い出す。私は小さく舌を出した。蛇口を捻って風呂場から出る。タオルで拭きながら自分の全身を眺めてみる。今年は日焼け止めを怠ったからこんがり焼けてしまっている。 「もっと早く聞いてればなぁ」  リビングに戻るとソファーの上にリモコンが! 嘆息してスイッチを入れると、勢いよく稼働し始める。冷蔵庫から冷やした麦茶を出そうとすると、もうほぼ入っていなかった。容器の蓋ににポストイットが貼ってあって『飲んだら沸かす』と書いている。私じゃないのに……。ほんの気持ち分くらいだけ残して最後まで飲んでいないと言い張るの、ずるい。どうせ兄ちゃんの犯行だ。 「もー」
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