咲く。

1/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

咲く。

高速道路のトンネルに入った。車内が暗くなり、辺りの空気がオレンジ色に見える。 私は車の後部座席で体の後ろの面を太ももから頭まで全部くっつけるようにして座っていた。 窓の外をボーっと眺めた。眺めると言っても外はただの車と壁しかなく、何を見ているわけでもなかった。「あなた達なに考えてるの?本当に。私ボーっとしてる時間とかあったことがないんだけど、そんな、なんのためにもならないじゃない。」 ふと、学校の英語の先生の言っていたことを思い出した。その先生は時間に厳しく、きっとなにもしていない時間など無いのが常識な人なのだろう。居眠りをしたり、手が止まっていたりした生徒が多かった時に言われた一言だ。 私はその言葉に衝撃を受けた。 私にとってボーっとしている時間は1日のほとんどを占めており、その時間が無かったら正直、空いた時間になにをすればいいのかわからないのだ。常に何かしら素敵なシチュエーションを想像し、頭の中で楽しんでいる。何もしない時間が無いなんて、私だったら体の何処かがショートして気を失ってしまいそうだ。     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!