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そのまま引っ張られ、とてつもない快感が俺の胸から腰へと駆け抜け、はしたなく俺のものから汁が漏れた。
そんな俺を見て冬和はクスリと笑い、項にきつく吸い付いてくる。それすらも今の俺には快感で……。
「答えろよ。覚えてる? 初めて俺とこうなった時のこと」
冬和はそう言うと一気に俺の中から抜き、俺の入り口近くで留まった。
「……冬和?」
急に動きを止めた冬和を不思議に思って、肩越しに冬和を見ると冬和は不敵に笑って浅く俺の中を何度も突いてきた。
それでも俺にとっては快感だったが、先ほどに比べたら些細な動きでもどかしい。昂ぶるこの身体にこの冬和の緩慢な動きは毒で、何もかもが俺の全てを麻痺させ言いたくもないことさえ口走ってしまいそうになる。
「ねぇ、史。覚えてる?」
俺のものを軽く握り意地悪く聞いてくる冬和。
―――――あの時と同じ顔
俺の意識があの時に戻っていく。
▽
大槻(おおつき)冬和(とうわ)は俺、赤羽(あかば)史(ふみ)の世間で言うところの「お隣さん」だ。
6年前に俺の隣に引っ越してきた大槻家とは家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっている上に、悲しいかな俺と冬和の部屋は向かい同士で窓を開ければ直ぐにこんにちはと挨拶できるほどの距離だ。
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