お隣のあいつは俺に愛をささやく。

4/8
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 同じ年の友達が直ぐ近くにいるというのは楽しいものであり、嬉しいものだと幼い俺は喜んではいたがきっとこの頃の俺は予想して いなかったのだろう。というよりも誰だって予想できるはずがない。  隣の家の友達がただの友達ではなくて、男の俺に愛を囁く変態になるなんて。  あの日までの俺は冬和をただの友達だと思っていたんだ。  だからこそその日の俺は俺の家に遊びに来た冬和を部屋の中に快く迎え入れ、ベッドに横になる冬和を横目に宿題に勤しんでいた。こんな光景は6年間毎日続いていたことだし、それが自然体であった。  それなのにこの冬和の馬鹿は突然俺に言ってきたんだ。 「俺、実は史のこと好きなんだよね」  と。  知っているだろうか。こういう時人間ってとりあえず思考が止まって、から笑いをしながら「冗談だろ?」と確認するのだと。もちろん俺はそういう反応を冬和に返して「馬鹿なこと言ってるな、暇人」と宿題に戻った。  今思えばこの言葉にしっかり危機感を持って部屋から逃げていれば、俺は冬和にあーんな事やこーんな事をされなかったのかもしれない。  そんな後悔はさて置き、冬和の馬鹿な告白をものの見事に無視した俺に冬和はめげずに後ろから抱き着いてきた。しかも机に前に椅子に座る俺の両手をがっちり掴んでだ。 「史、俺史のこと好きだから」 「―――――おい」     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!