お隣のあいつは俺に愛をささやく。

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 またいつもの悪戯だと思った俺はいつものようにドスの聞いた低い声で冬和を威嚇し、手を振り払った……が手が振り払えない。冬和の意外な力強さに驚いた。 「だからさ、史も俺のこと好きだってことはっきり言って?」 「はぁ?!」  俺がいつ!どこで!お前を好きなどと綿菓子が雲に変わるような馬鹿なことを言ったというのだ! 「言ってごらん?」 「俺が実はお前のことを毛嫌いしているって?」  皮肉を込めて俺は冬和に言い放ち、冬和の腕の中であらん限り暴れた。それなのに手が離れないってどういうこと?! 「史、言って?」 「おい、冗談なら……」 「言ってごらん?」 「冬和いい加減にしろ……うぉ!?」  なななななな舐めた! こいつ、俺の首を舐めやがった!!  それだけに飽き足らず冬和は俺の首を上から下にかけて啄ばむように口を下ろしていく。 「ととととと、冬和さん? 一体何をしていらっしゃるの?」 「愛の営み」  あい、愛だぁ?! 俺とお前の間に愛が起こり得るっていうのか?! 俺とお前の間に?! 俺と、冬和の、間にぃ?!! 「と、冬和さん。一体どういった経緯でその愛とやらが発祥して営むまでに発展したので?」 「俺と史の間に自然と生まれて、俺が我慢できなかったから勝手に発展させた」  勝手に?! 俺の許可は?!!  それに俺の服の下に手を入れる許可はいつ取ったんですか?!     
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