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「ねーえ起きろー!」
やけに元気な声が熟睡していた頭に響く。
「ぅ…ぁ…な、なんだよぉ優奈…」
くぁ、と大きなあくびを一つ。
「誰?ゆうなって?」
ねぼけた視界に今朝の少女__寝ていた時には見えなかった大きな茶色い瞳が覗き込んでいた。
「いや…なんでもないよ」
「何でそんなところで寝てるの?風邪引くよ?」
なかなか現実世界にはいないレベルの可愛い女子に心配されるのも悪くないなと起きて早々に思った。
「ほら!朝ごはん出来てるよ!」
なぜこいつは朝っぱらからこんなに元気なのかとぶつぶつ言いながら体を起こす。小さな木の机の上には黒パンとなにやら旨そうな匂いを放っているコーンスープが2つ。
「なぁ、これお前が作ったの?」
俺が訊ねると前に座ってエプロンの紐をほどいている彼女はさも当然といった顔でうなずいた。
「そうだけど?早く食べて!」
「お、おう」
名前も知らない女子の手作りご飯を食べるのはどうなのかと思いながらも、匂いに鼻がぴくぴく動いてしまい、木のスプーンを手に取り、
「いただきます!」
そして口に入れようと口を大きく開き、スプーンを口のなかにいれ___る前に手が止まった。
「どうしたの?」
怪訝そうな顔を傾ける彼女。それにも答えず俺は考えていた。
_____待てよ…これってもしかして…マンガでよくあるパターンの食べたら死ぬほど不味いってやつじゃねぇか…?
考える間にも目の前のスープは旨そうな匂いを放ち続けている。
_____こんなに旨そうなんだから大丈夫だろう!
俺は匂いの誘惑に負け、口に入れ勢いよく飲み込んだ。
_____予想通り不味かった。
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