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「これよく食べれるな!」
口のなかに広がったのはなんとも言えない土と草が混ざった様な味だった。彼女は平然とそのスープを空にしている。
「失礼だな!ちょっと今日は失敗しただけだもん!嫌ならそのパンでも食べてれば!」
「あーはいはい、そうしますよーだ」
彼女が俺の分のスープをかっさらい一気に呷る。それ以降一言も話さずに黙々と食べていると、彼女が突然口を開いた。
「ねぇ、君の名前ってなんて言うの?」
「急に聞くなお前。俺の名前知りたい?」
「いやそうでもないけど」
「俺の名前は桐島慶人って言うんだ。お前は?」
「きりしまけいと?じゃぁ君はケイトってことね。私はカナって言うの!」
「カナか。何歳だ?俺とそんなに変わらない気がするけど。俺は16だ」
「私も16!」
「なんだ同い年か。カナは一人で住んでるのか?親とか姉弟とか見当たらないけど」
その俺の何気ない一言がカナの花の咲いたような笑顔が消え、顔をくしゃくしゃに歪め、俯き、小さな消え入りそうな声でぽつりぽつりと話始めた。
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