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大粒の涙を溢しながら希望にすがるように俺に問う。
「ねぇ!…っ…君も…!そう思うよね!!」
「あ、あぁ…」
気の利いた返事の一つもできなかった。泣きじゃくる彼女にかける言葉を俺は持たなかった。
_____なんと言えば良いのか。なにを言えば良いのか。
と、俺が動揺しているとカナは涙を拭い、先程とは打って変わった声で言った。
「…あ、もうすっかりおそくなっちゃったね!
今日君と村長のところにいかなくちゃいけないんだった!ほら!急いで!」
「…分かった…」
さっきのはなんだったのかと考えながら身支度を整え、家を出た。外は日が昇り、心地良い天気だった。子犬と男の子が走り回り、井戸で話をしている人達が居て、滝壺で釣りをしている人が居た。様々な人に挨拶をしながら村長の家に向かう。
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