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「村長さんいますかー?」
カナが扉の前で大きな声をだし、村長を呼んだ。するとすぐに扉が開き、白い髭を伸ばした垂れ目の優しそうな顔をした老人が顔を出した。
「ああカナか。さぁこっちへ」
カナに対しては笑顔だったが、俺が中に入ろうとしたらやけに大きな音で舌打ちをされた。
中に招かれ木の丸机を囲むように椅子に座る。俺の分の椅子はなかった。
「ところでカナ。近日中に村の収穫祭があるのは知ってるな?」
「うん!もちろん!」
「うむ。それでカナにはこの村の隣のアルカパ村へ冠を取りに行って欲しいのだ。」
「あー、あの手先が凄く器用なウェルズお祖父ちゃんの所にいけば良いのね?」
「それはそうなんだが、この村は高所にある。下の村にいくのはオンゴリの崖を下らなくてはいけない。そこはたいした問題じゃないのだが近頃あの付近には巨大鼠(ジャイアントラット)や巨大黒蟲(ヒュージ・ロージ)が出るそうじゃないか」
「そうみたいだね…」
「そこで、そこのよそ者にカナの護衛をやらせることにした。この村には他の青年はうちの息子のニードしかおらん。うちの子をそんな危険な目に遭わせるわけにはいかない。なので、報酬を出し、雇うことにした。もちろん引き受けるな?」
後半は俺に向けた言葉だった。それに対して今まで黙って聞いていたカナがガタンと椅子を鳴らし立ち上がった。
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