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「まっ待って!ケイトはまだ元気じゃないんだよ!そんなの無理だって!」
隣に立つカナが俺をかばうように言葉を浴びせる。この時俺は考えていた。
_____何でカナはここまで俺をかばうんだ?どうしてカナの事を危ない所に行かせようとするんだ?
高速回転する頭で考え、前者の方は分からなかったが、後者の方は閃いた。
_____こいつはきっと邪魔物扱いされているのだろう。色々なことに口を突っ込むから村長からしたら邪魔なんだろう。それならば俺のするべきことは一つだ。
「分かりました。やります」
「ちょっとケイト!無茶しちゃ駄目だって!」
カナが、心配そうな顔で俺の腕を引っ張った。
「無茶なんかしてないさ。全然俺は元気だぜ?」
まだ心配そうな顔するカナにニヤリと笑いかける。
「駄目だって!」
その言葉に耳を貸さず俺は村長に言った。
「その前に装備を整えたいので報酬を先に貰えませんか?」
村長は長い髭をなで、ニヤリと嗤った気がした。
「もちろんいいが…カナにもしもの事があったら…わかるな?」
それを聞いて俺は殴りかかろうとする右手を押さえつけなくてはならなかった。そんな嘘を吐いてカナを騙そうとする村長が許せなかった。「………はい」
「ならいいだろう。報酬は1000Gやろう」
たくさんの金が入っているような袋を机の上置いた。しかし中身はたったの1000G。ゲームのときからしてもかなり少ない。安全と言える装備が十分に揃うか揃わないかといった所だ。きっとこの世界も現実と同じ様に死んだらそこで完全にログアウトなのだろうから、安全性が出来る限りなくてはいけない。つまりこの村長は、俺達など死んでもどうでもいいのだろう。
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