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2日目 午前6時32分
ふあああっ、あくびをひとつ。
太志郎が目覚めると、窓の外は明るかった。。
ぐっすり眠ったような、眠り足りないような、変な感じだ。ベッドのせいだろうか。
鋼線入りの防火ガラスの窓から外を見た。ダークグリーンの戦車が並んでいる。自衛隊駐屯地の中と、ようやく納得できた。
白い壁、家具も白い、色の無い部屋だ。室内のユニットバスのトイレで用を足し、ついでにシャワーを浴びた。
下着も寝間着も、自衛隊の支給だ。あそこで手に入れた物は全て没収されていた。右手の腕輪は外せないので、身に残っている。
ポーン、インターホンが鳴った。時計は7時5分前だ。
「朝食の用意ができました、会議室へどうぞ」
ガシャン、ドアで音がした。鍵が開いたようだ。軟禁が解かれた。
太志郎が廊下に出ると、奥が会議室だった。他のドアは施錠されていた。
二人の女性自衛官が待っていた。
「おはようございます。お席へどうぞ」
言われるまま、イスに座った。テーブルには5人分のトレーがある。
コーヒーかお茶か、と聞かれ、コーヒーと答えた。
「おっはよーございっまーす!」
天井を揺るがす声で、沖久留美が入って来た。元バレーボール部、体育会系のくせが抜けていない。
三平、鈴瀬が現れた。足利がタオルを首に巻いたまま来た、朝の親父のまんまだ。
「やっぱ、大人は違うなあ」
三平が女性隊員に見とれ、つい指でカメラのフレームを作った。
ぷう、久留美のほおがふくらんだ。
足利はほおがゆるんだ。近頃、きれいな女は、誰でも若い頃の妻に似ていると感じてしまう。
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