2日目 午前6時32分

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「おはようございます」  矛狩二尉が大きなレジ袋を持って現れた。 「沖さん、お父さんの差し入れだ。自分で持って行きたかったようだけど、代行して来たよ」  どさっ、袋の中は沖食堂の天丼弁当。エビ天は通常1尾を2尾に増量、大盤振る舞いで10人前以上ある。 「あたし、こちらのブレックファストが良いわ」  鈴瀬は早々に辞退した。娘の久留美も鼻を手でおおった、匂いだけでゲップが来た。 「おれ、いただきます」  三平は弁当をひとつ取った。大柄だけに、二人前で一食分だ。 「あとは、隊員の皆さんで分けてよ」  久留美が苦笑いで矛狩に押し返した。 「食べ終わりましたら、こちらに着替えて下さい。8時からミーティングです」  着替えを出してくれた。士官の肩章も鮮やかな自衛隊の制服だった。  体育館を抜け、大会議室へ入った。  大きなスクリーンが2面あり、一方には、地下の施設が映っている。多くの士官たちが席に着いていた。  5人は奥のオブザーバー席へ案内された。アイヌ協会の会長と太志郎の父が先に来ていた。  軽く朝の挨拶を交わし、並んで座った。 「あたしのスマホ、返してくれないのよぉ」  鈴瀬が斜めに座り、また不平をもらした。しっ、矛狩が注意する。 「駐屯地司令、入室」  号令があり、部屋の全員が起立した。何事か分からないまま、太志郎も習って立ち上がった。
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