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スクリーンの画が変わった。手術室のような部屋で、寝台に宇宙人のミイラがある。寝台横の医師らしき人が手と頭を振った。何かを報告する準備が出来ていないらしい。
また画面が変わり、別の部屋へ。宇宙人が寝ていた台がある。カメラで側面の文を撮っている様子。
「台に書かれていた文を要約しました」
司会役が手元の機械を操作して、訳文をスクリーンに出した。
寛文九年十月十一日、吾友の言葉を遺す、三石麻里ノ介
我らは欺かれた
我らが皆目覚めると、ここは破裂する
炉が皆停まると、ここは破裂する
故郷へ帰る術は失われた
モシリを守るためには、爆弾を枕に眠り続けるだけ
麻里ノ介、心せよ
「この先は、まだ解読中です」
司会役が言葉を結んだ。
ごくり、太志郎は唾を呑んだ。
「第五惑星は、やっぱり!」
鈴瀬は直感を確信に変えた。
「これは、これまでの地底探査から得たデータを元に、地中にある施設の全貌を示します」
旭川の地図が画面に出た。CGを重ねる。地中に眠るナマズのような影が現れた。
幅1キロ、長さは3キロ、厚さは400メートル、巨大な宇宙船だ。地上に現れた塔は、まるで潜水艦の潜望鏡のよう。
「次は、地上の配置を」
司会役が機械を操作し、画面が手の噴水前になった。
ピピピ、腕輪が鳴った。太志郎のだけでなく、久留美のも、鈴瀬のも、5人全員の腕輪が鳴った。
「静粛に!」
司会役が言った。
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