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「ちょ、ちょっと待ってください! アルを忘れられないならって何ですか!?」  無理やり腕を引きはがして見上げると、レオン様は切なそうに微笑む。 「『かなわぬ恋』とは、アルヴィンのことだろう?」  レオン様はずっと私がアルを好きだと勘違いしていた?  そういえば、アルを嫌うような発言をしていたことを思い出す。つまり、あれはアルに対して嫉妬をしていたということだった、とか? 「……冗っ談じゃないです! アルは確かにいい奴ですけど、男としては最低の部類に入りますからね!? あっちこっち声をかけてはとっかえひっかえ! 何度私がフラれて泣いている女性を慰めたことか……。それだけならまだしも、逆恨みされて嫌がらせされたことだってあるんですから!」  積み重なっていた鬱憤が、勘違いされていた腹立たしさに触発されて一気に噴き出す。私の剣幕に圧倒されたレオン様は、茫然としながらもそうか、などと相槌を打っていた。  吐き出すだけ吐き出すと、妙にすっきりして冷静になる。すると今度は声を荒げてしまったことが恥ずかしくなり、誤魔化すように咳払いした。  レオン様も我に返ったのか、話を元に戻してくる。 「なら、あれは誰のことを言っていたんだ?」     
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