『Up to one hundred souls of triplets』

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『Up to one hundred souls of triplets』

 もう五年近くも住んでいるのに、正直、今更そんな話を聞かされても……と久米(くめ)由(よし)悠(ゆ)季(き)にとっては心地良いものではなく、むしろ困惑するしかない、同アパートに住む隣人の長瀬類(ながせるい)からの雑談から出た一口説。 「久米さんの部屋に以前住んでいた奴って、人殺しだったらしいですよ」  どうしてこんな事を聞くに至ったんだ? とその経緯を久米は思い出せなかったが、とりあえず久米は目の前のテーブルに置かれたコーンとワカメが大量に盛られた、サラダ・バーからよそったサラダ・ボールの中の野菜にフォークを突っ込んで、ほどよいバランス具合に重なったキュウリとレタスを口に入れた。一方、ドレッシングは和風ではなく胡麻にすれば良かった、と慙愧(ざんき)の念をしつつ。  昼下がりのファミレス。     
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