『Up to one hundred souls of triplets』

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「ねえ、怖いでしょ。まだ犯人って捕まってないそうよ。そういえば最近この辺り、置き引きとか自転車のカゴから原付で荷物を奪うとかの事件が多発してるわよねえ。お年寄りとかも狙った犯罪も目立ってるらしいし。これじゃあ夜中も歩けないわあ」  相変わらずの甘ったるい声で、隣りで包装機を使いラッピングの製本をしている久米に向かって話しかけている梅沢。だが、喋りながらも久米と同じ仕事をしている、梅沢の本を包装機に送る手は滞らない。そのスピーディな手さばきはベテランの妙技。もはや作業に集中してなくても、手が勝手に動いている。  本日は昼食後からの仕事始め。久米は既に数時間働いていて、工場の天窓からは西陽が射し徐々に日も暮れ始め、夕方時の二度目の小休憩を前にする時刻になっていた。 包装機から漂ってくる温風の熱気が、久米の額に一筋の汗をもたらすが、疲れを知らぬ梅沢の話には、何とか耳を貸して相手をしていた。 「そうっすね。何か近頃、この辺も治安がヤバくなってきているってのは聞きますもんね。ホームレスを狙った暴行事件とかも聞きますし。俺も昨晩、仕事終わって家に帰って寝落ちしている最中に、誰かが強引に俺の部屋のドアを開けようとするような災難にあったんすよ。ビビりましたわ」 「え? それって強盗に入られそうになったってこと」     
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