『Up to one hundred souls of triplets』

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「多分。すぐにドアのノブを強引に開けるガチャガチャ音はおさまったんですけどね。実際に不審者みたいのは見てなかったので、詳しい事は分からないけど、まあ、超常現象でない限りは、人為的な事だったと思うんで、強盗やら犯罪者の類いだとは予想出来るんですけどね、未遂で終わったけど」 「うわあ、それ本当? それってもしかしたらドラッグ・ストア強盗と同一犯だったんじゃないの」 「どうっすかね。俺もちょっと疑ってみたんすけど、どうどうとわざわざ明かりが付いている部屋に乗り込もうとしますかね。そん時、別に部屋暗くしてたわけじゃなくて、モロに台所の窓から電灯の光が漏れてたはずですから」 「そうなの? じゃあ何かしらね、ただの異常者なのかしらね。でも、犯罪者と異常者なんて区別つかないもんねえ」 「確かに」  と会話の区切り良く作業休止のチャイムが鳴り、小休憩の時間が訪れた。皆々が、お疲れ様、と言いながら休憩室へと向かう。久米も肩を叩きながら、オフィス用お得自販機の五十円で買える紙カップのアイス・カフェオレを持って席に着いた。作業着の上着のボタンを外して体を涼しくし、カフェオレを一飲みすると大きく息を吐いた。パートのおば様群とは距離を置き、久米は一人で静かに紙カップに唇を触れさせ考え事をしていた。  まったく、物騒な話だな。ここら辺も治安悪化区域の仲間入りかよ。そういや、俺の住んでいる部屋に前は殺人犯が居座っていたって言うし、元々ヤバい区域だったのか、あそこは。     
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