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「本当っすよ。こう見えてバイト・リーダーっすよ、俺」
「え? マジで」
「そうですよ。この俺が他のバイトのメンバーのスケジュールとか決めてるんすよ。ほとんど準社員っすよ、やってる仕事は」
「ヤバくね、そんなポジションまで上り詰めるなんて。超出世してるじゃんか、お前」
「でしょ。少しは俺に対してリスペクト希望っすよ」
「んじゃ、リスペかますから、昼飯代奢ってよ、リーダー」
「敬意は人から払ってもらっても、経費は払わずが俺の主義なんで。自分で食った分は自腹でお願いしゃーす」
「座布団二枚級のウマい事を言うじゃねえか」
そんなくだらない会話を、二人は幾度もドリンク・バーを往来しながら、互いのバイトが始まるまで続けていた。
久米よりも一足先に長瀬の方が、アルバイトの時間が早かったので、長瀬は先に離席して店を出て行った。久米はまだ出勤まで時間に余裕があるので、もうしばらくドリンク・バーで店内に居る時間稼ぎをしようと考えていた。いかにもまだ一服してる感を醸し出すために、今度はジュースではなくコーヒーをドリンク・バーから選ぶ久米。そして、一人、席に戻りズズっとそれをすする。食後のコーヒーは最高だな的な振る舞いだが、既に完食してから一時間以上過ぎている。
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