『Up to one hundred souls of triplets』

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「いえね、その怖い話もBSでやってて、私たちの間で流行っているのよ」 「やっぱBS発信ですか、やれやれ」  BSのテレビ番組はネット配信とかでパソコンとかで視聴できない、熟年層がやはり狙いなんだな、と思いつつ缶の冷茶を飲みつつ久米は会話する。 「どうせその番組に出てる、若手のイケメン俳優とかが目当てなんでしょ」 「そうなのよお、昨日もキャンディ・ダンディのメンバーで、プリティ系担当している前田君が主演でさあ、すっごく前田君が魅力的だったのねえ。でも、話の内容なんて全然どうでもイイんだけど、最後にゾンビ化しちゃった前田君が自分の家に戻ってくるのが、エグい特殊メイクだったけど、逆にこんなミステリアスな前田君もアリなんだなあ、って前田君のキュートっぷりが光っていたなあ」  更年期もそこそこ、低音の声質で夢見る乙女のように、アイドルの前田君とやらの魅力を得々と語る梅沢を煙たく思いながらも、久米は一つ気になった言葉を聞き、 「ゾンビ化して家に帰る? どんな話なんすか、それ」     
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