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自尊心も誇りも何もかも、この男の持ち得るすべてを奪って傷付けて、ズタズタにのめしてやりたいと、そう思った。
そうして何もかもを失ったこの男を、俺だけのものにしてしまいたいとも思った。
だから選びなよ。
今、目の前で狂犬のようにあんたに襲い掛かろうとしているこの連中に輪姦されるのと、俺にやさしく抱かれるのと、
「どっちがいい? ねえ帝斗さん?」
選ぶのはあんた次第。
男たちの間に割って入り、奴らを少し退けて、涙で汚れた白い頬を撫でながらそう訊いてやった。
俺を見つめるその視線に特有の殊勝な気配は何処にも無く、そこにあるのは救いを求めるような必死の形相と諦めの決意だけだった。
がっくりとうなだれるようにして、帝斗がその首を縦に振った瞬間に、自らの中で温かい何かが点った気がした。
あんたを独り占めにできるのならば、その毒に侵食されてもいい。
この世で一等憎いはずだった男に捉われていたのは俺の方だったのだと、認めてもいい。
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