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「ニンゲンはボクたちよりも大きいし、頭もいい」
ミケはタマの言葉に頷きます。
「風にも負けない家まで作れちゃうし、凄く速く走る物……えっと……何だっけ?」
「車?」
「そう、車まで作っちゃうんだ。だから魚を見つけて獲るのは、ボクたちには一苦労でもニンゲンたちにとっては朝飯前なんだよ」
「なるほど」
ミケは納得します。
「そうだね。ニンゲンだものね」
「うん」
タマは納得したミケに満足したのか、また海を見上げ始めました。
ミケもまた、海を見上げ始めます。
それから、何分かした後。
ミケは同じ体勢でいるのに疲れて、首を回している時でした。
「ん? ミケ! 何か音がしない?」
タマがいきなり大声を上げました。
「え! 本当!?」
ミケは急いで頭を上げます。
しかし、魚の姿はどこにも見当たりません。
「どこにもいないよ?」
「でも、音はするよ」
二匹は静かに耳をすますと、確かにゴゥゴゥと音が聞こえてきます。
「一体どこにいるんだろう」
タマはあちこちを見回します。
「あ!! あれじゃない!?」
ミケは向こう側を指差します。
「え! どこどこ!!」
タマはミケの指差した方向を見つめました。
「あ! いた! 多分あれだよ!」
二匹の目線の向こうには大きな魚がゆっくりと泳いでいます。
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