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なんと大きな魚でしょう。ゴゥゴゥと音を立ててコチラに近づいて来ます。
「鳩のおばさんが言っていたことは本当だったんだ!」
「ボク、あんな大きい魚見たことがないよ」
「ボクもだよ、ミケ」
二匹は興奮して、立ち上がり、大きな魚を見つめます。
しかし、二匹はあることに気が付きました。
「どどど、どうやって獲るの?ミケ」
「ど、どうやってって言われても……」
そう。二匹は大きな魚をどうやって獲るか考えていなかったのです。
大きな魚は悩む二匹にお構いなしに大きな音を立ててやって来ました。
「ほら! タマ! 来たよ!」
「ほら! ミケ! 来たよ!」
二匹は同時に叫び、同時にめいいっぱい両手を伸ばします。
でも、大きな魚に手は届きません。
両手を伸ばしながら、二匹はぴょんぴょん飛んでみます。
でも、やっぱり大きな魚に手は届きません。
まるで、大きな魚は小さな猫たちを笑うかのように、鮮やかに向こうへと飛んで行ってしまいました。
二匹は肩で息をしながら、悔しそうにそんな大きな魚の後姿を見送ったのでした。
息が落ち着いた頃。二匹は疲れ果てて、木下で丸まっています。
「行っちゃったね。ミケ」
「うん。行っちゃったね。タマ」
「それにしても、大きな魚だったねぇ」
「うん。凄く大きかった」
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