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「あ……ぁあっ……!」
「ふん、すっげえ色っぽい声出しちゃって……ホント、不毛っていうか、ヘンタイっていうか? ここまでくると気の毒ともいえるよな?」
「や……めろっ……もうよせっ……!」
連続して激しく突き上げてくるしつこい動きから逃れようと丸めた背筋を、逆にすっぽりと深く抱き包まれて、耳元をベロリと舐められた。
「よせっ……!」
いつの間にか胸元に回り込んできた手が胸の突起を探り当て、クリクリと指の腹で撫でられ摘まれる。嬌声どころか全身を欲情が這い上がり、背筋がゾクゾクと震えた。
◇ ◇ ◇
巨大裏組織の若き頭領である氷川白夜の下に赴くようになってどのくらいになるだろう、彼の一番近い側近として仕える幹部である粟津帝斗は、部下の男に組み敷かれながらぼんやりと遠い記憶を追っていた。
男気の強く、行動力も統率力もある白夜に心酔し、憧れを抱くようになったのは必然、むしろ好ましいことだった。そう、まさか憧れや尊敬を通り越してこんな行き処のない気持ちを持て余すことになろうとは、出会った当初は想像もし得なかった。
否、そうではない。多分、こうなることは解っていた。
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