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そう、男になんか興味なんてないくせに!
そう言いたかった。俺になんか興味のないくせに、仕事の話だけしていればいいじゃないか?
なのにどうしてこんなことをする? いきなりこんな――
訳が解らなくて涙がこみ上げてきた。情けなくて惨めで、今までひた隠しにしてきた苦しい想いが一気に蘇ってきて、それらを紛らわせようと模倣した挙句に剛とあんなことになったんじゃないか。
ヒトの気も知らないで勝手なことばかり言う、酷い男だ。
ツウと頬を伝った涙に、白夜のしかめられた瞳が更に不機嫌そうに歪んだ。
「俺はこんなことまで望んでなかったがな? お前を側近にして、傍に置いておければそれでいい。お前は忠実に俺と組織の為だけを思って付いて来てくれる、それで満足だった。俺たちは厚い信頼で結ばれていると思うだけで至極だったのにな?」
――分からないか帝斗?
実力の面だけでいえばお前と同じくらいのヤツはいくらでもいた。
もっと俊敏に動ける奴も。
そいつらを差し置いて俺がお前を傍に置いた理由がお前には伝わらなかったんだろう?
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