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そんな思いを見透かすような部下の男、そう――今まさに自身をなぶり続けている清水剛の嘲笑混じりの興奮した吐息が、憂鬱な心を更に重くした。
「剛っ……もうよせと言ってる……っ!」
「一年間もヒトのことを身代わりにしてきたくせに、当の頭領本人を目の前にしただけでもうそんな悪態をつくなんて、それはないと思うけどね? 第一いくら恋しがったところでお館様はあんたになんて興味ないんだろう? 報われないどころか、あんたが男色だなんて知られたら嫌われちまうんじゃない? 個人の嗜好とせいぜい理解してくれたとしても、距離を置かれちまうのが関の山だ」
「今はそんな話してない……だろ……っ! いい加減にもう放せっ……」
「ふふ…三回イッたら気が済んだってか? だからもう俺は必要ない? さっきまでは祝宴場で欲情抑えきれないって顔してたのにな? 相変わらず我が侭なんだな、あんたって。ねえ、帝斗さん?」
「放せ……っ」
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