1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
雨嵐花
友は私を恨んでいるだろうか。
空を蠢めく大蛇の如し稲光り。それは遅れることなく唸り上げ、その咆哮と時を同じく、激しい怨嗟の雨が降る。
死者が永久に睡りし大地は、古来より、こんな怨嗟の雨を吸い、大地が恨みつらみを濾過して、雫を綺麗な地下水へと変える。土地に止めた怨念は、一帯に黄色の小さな花を咲かせた。
黄泉に触れし染まるは怨花。怨嗟に黄ばんだ五枚の花弁。ひとひら千切りし、痛みを伴う。
故郷を捨てた私を拒むよう、十年ぶりの帰省は、とんだ嵐に見舞われた。
友は私を恨んでいるだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!