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だが幸い今まで知り合いとエンカウントしてはいない
このまま何も無ければいいのだが―――――
「おや、久遠さんじゃないですか」
―――――そう容易く行くのなら苦労はなかった、なによりここは彼の、紅葉が統制し管轄する神和都市『トシマサヤム』だ
久遠を度々尾け狙う彼の目線は恐らく、『ソレ』であろう
明らかに友としての範疇を超えたそれに私は些かの危機感があったが、まさか自分がそれを身を以て感じることになろうとは
「……久遠さん?」
「ん、いや、紅葉か」
「はい、貴方の紅葉ですよ」
「……その貴方のと言うの、どうにかならないのか」
「おや、珍しいですね……僕の発言に言及するなんて」
(……しまった)
いきなりやってしまった、と言うか普段この二人の会話を聞いていないのにらしく振舞えというのが無理だろう
顔には出さないが内心では僅かに焦る、これから依頼があるのにここで手間取るのはまずい
「別にいつも取り上げないわけじゃねぇよ、たまたまだ」
「ふふ……少しは僕と共に生きる気になりましたか?」
「それは永劫……久遠に訪れないだろうな」
「………………」
「どうした」
「今日はやけに口が回りますね、どうしました?」
「別に、これから依頼があるから先を急がせてもらう」
「まだ話は―――――」
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